多焦点眼内レンズとは? 白内障手術で叶えるクリアな視界
2025年11月4日

「白内障の手術で遠くも近くも見やすくなる方法はないかな」
「老眼鏡の煩わしさから解放されたい」
このようにお考えの方におすすめしたいのが『多焦点眼内レンズ』です。
多焦点眼内レンズは、白内障手術で濁った水晶体を取り除いたあとに挿入する特殊なレンズです。
この記事では、多焦点眼内レンズの仕組みからメリット・デメリット、手術の流れ、費用面まで詳しく解説します。
白内障でお悩みの方はもちろん、将来的な視力低下に備えて情報収集をしたい方も、ぜひ参考になさってください。
多焦点眼内レンズについて

白内障の治療を考える際、どの眼内レンズを選ぶかは視力回復と今後の生活の質に大きく影響します。
白内障とは
白内障は目の中の水晶体が濁ってしまう疾患です。
加齢と共に発症率が高まり、50代で約50%、80代では約80%の方が発症するといわれています。
放置すると視界がますます悪化し、緑内障などの合併症に気付かず失明に至るリスクもあります。
残念ながら薬で治療することはできず、手術による濁った水晶体の除去が唯一の治療法です。
多焦点眼内レンズとは
白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工のレンズ(眼内レンズ)を挿入します。
このレンズには大きく分けて『単焦点眼内レンズ』と『多焦点眼内レンズ』の2種類があります。
単焦点眼内レンズは、その名の通り一つの距離にだけピントが合うレンズです。
例えば遠くに焦点を合わせたレンズを選んだ場合、新聞や本を読むときには老眼鏡が必要になります。
一方、多焦点眼内レンズは2ヶ所以上の複数の距離(遠方・中間・近方など)にピントを合わせられるレンズです。
遠くも近くも見やすくなり、日常生活でのメガネやコンタクトレンズへの依存度を大幅に減らせるのが特徴です。
『Tecnis Odyssey(テクニス オデッセイ)』の特徴
近年進化している多焦点眼内レンズのなかでも注目されているのが『Tecnis Odyssey(テクニス オデッセイ)』です。
このレンズはアメリカJohnson & Johnson社製の焦点深度拡張型(EDOF)レンズで、遠方から手元まで自然な見え方を実現しています。
『テクニス オデッセイ』は、従来の多焦点レンズと比較してハロー・グレア(光がにじんだり、まぶしく感じたりする現象)が軽減されています。
また、屈折誤差耐性を備え、より良好な裸眼視力を獲得しやすい設計になっているのが特徴です。
『Odyssey ToricⅡ(オデッセイ トーリックⅡ)』という乱視矯正機能を備えたタイプもあり、遠近両方の視力改善と同時に乱視も矯正できる点がメリットです。
深作眼科では、総合的な性能からこれら2つを主な眼内レンズとして採用しています。
多焦点眼内レンズのメリット・デメリット

白内障手術で眼内レンズを選ぶ際は、多焦点レンズにはどのようなメリットとデメリットがあるのか、正確に理解しておくことが大切です。
遠近両方が見えるしくみ
多焦点眼内レンズの大きな特徴は、複数の距離にピントを合わせられる点です。
このレンズは光を分散させる特殊な構造をもち、遠方・中間・近方といった異なる距離の物体を同時に見えるようにします。
レンズには『2焦点』『3焦点』『焦点深度拡張型(EDOF)』などさまざまなタイプがあります。
例えば2焦点タイプは『遠方・近方』の2つの距離に、3焦点タイプは『遠方・中間・近方』の3ヶ所にピントを合わせることが可能です。
また、焦点深度拡張型は遠方から中間まで連続的に見えるように設計されています。
メリット・デメリットと注意点
多焦点眼内レンズを選ぶ際は、ご自身の生活スタイルや価値観に合うかどうかを十分に検討することが重要です。
| 項目 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 見え方 | ・遠近両方の視界が確保できる
・複数の距離にピントが合う ・メガネの掛け替えが不要になる |
・単焦点レンズよりコントラスト感度(明暗の差)が若干低下する
・焦点が合う距離は種類により異なる |
| 生活への影響 | ・メガネ依存度の大幅な減少
・老眼の症状が改善 ・日常活動の利便性向上 |
単焦点レンズに比べてハロー・グレア現象が生じやすい |
| 費用面 | ・長期的にはメガネ購入、交換費用の節約になる | ・自由診療レンズは高額
・乱視用レンズは費用が増加 |
| 適応性 | ・多様な生活スタイルに対応
・活動的な方にも適している |
・全ての方に適しているわけではない
・他の眼疾患がある方、夜間運転が多い方などは注意が必要 |
多焦点と単焦点のどちらが優れているというわけではなく、患者さん一人ひとりの目の状態や生活習慣、価値観によって適した選択は異なります。
眼科医との十分な相談を通じて、よりよい選択をしましょう。
手術の流れと回復過程

白内障手術の成功には、高度な技術と正確な手順が不可欠です。
多焦点眼内レンズ挿入術を検討する際は、手術の流れと回復過程についても理解を深めておきましょう。
深作眼科の特徴
深作眼科では、深作院長が開発した手術技術と器具、新しい設備を活用した無痛手術を提供しています。
実質的な手術時間はわずか4分程度で、年間4000件以上の手術実績があります。
この実績は日本でもトップクラスであり、アメリカ眼科学会(ASCRS)からも高い評価を受けているものです。
院長が考案した『スナップ アンド スプリット法』は、安全性が高く効果的に白内障の核を除去できる手法として知られています。
また、傷口が小さいため術後の回復も早く、安静にする必要も少なくて済みます。
手術の流れ
白内障手術は以下のような流れで進みます。
- ピンポイント麻酔をかける
- 約2mm程度小切開を入れる
- 水晶体の表面に窓を作る(CCC)
- 濁った水晶体のみを砕き超音波で吸引する(スナップ アンド スプリット法)
- 残されたカプセルに特殊な液を満たし眼内レンズを挿入する
- レンズの位置を微調整する
この手術方法では目に大きな負担をかけず、縫合も不要です。
また、精密なCCC(前嚢切開)を行うことでレンズが適切な位置に保たれ、よりよい視力回復につながります。
麻酔方法と痛みについて
白内障手術の痛みに対して不安を感じている方は少なくありません。
深作眼科では独自のピンポイント麻酔法を採用し、痛みをほとんど感じることなく手術を受けられます。
深作院長が開発したこの方法では、麻酔薬を必要な部分にのみ投与するため、効果的に痛みを抑えつつ、麻酔による合併症のリスクも低減できます。
術後の経過と注意点
手術後、最終的な視力が安定するまでの期間には個人差があります。
多焦点眼内レンズの場合、脳が新しい見え方に順応するまで約1~3ヶ月かかることがあります。
術後の主な注意点は以下の通りです。
- 目をこすらない
- 洗顔や洗髪は医師の指示に従う
- 点眼薬は指示通り使用する
- 激しい運動や重い物の持ち上げは一定期間避ける
当院ではこのような丁寧なアフターケアにより、患者さんの視力回復をサポートします。
費用と保険制度

多焦点眼内レンズの手術を検討する際、気になるのが費用面です。
治療効果と同時に、経済的な側面からも選択肢を吟味することが大切です。
医療費控除の活用法
多焦点眼内レンズの手術費用は、医療費控除の対象となります。
医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が10万円を超えたときに受けられる税金の控除制度です。
医療費控除を受けるには確定申告が必要なため、手術時に受け取る領収書は大切に保管しておきましょう。
手術を成功に導く3つのポイント

多焦点眼内レンズの手術で満足のいく結果を得るためには、幾つかの重要なポイントがあります。
医療機関の選び方
多焦点眼内レンズ手術は、2020年4月からは一定の要件を満たす医療機関であれば実施可能になりましたが、実績や設備には大きな差があります。
手術件数や成功率、新しい機器を備えているかなどを確かめましょう。
執刀医の技術力の重要性
多焦点眼内レンズは非常に精密なレンズであり、わずかな位置のずれでも見え方に影響します。
執刀医の経験や技術によって、同じレンズでも結果に差が出るのはこのためです。
医師の実績や専門性、多焦点レンズの手術経験数などを確認することが望ましいでしょう。
術前検査の意義
白内障だけでなく、他の目の疾患(緑内障や黄斑変性など)がないか、角膜の状態、瞳孔径など多角的な検査が必要です。
これらの検査結果に基づいて、患者さん一人ひとりに最適なレンズと手術方法が決定されます。
十分な術前検査を行わない場合、術後に想定外の見え方になるリスクが高まります。
これら3つのポイントを押さえて医療機関と執刀医を選ぶことで、多焦点眼内レンズ手術の成功率と満足度を高められるでしょう。
多焦点眼内レンズについてのよくある質問

多焦点眼内レンズについて患者さんからよく寄せられる質問を紹介します。
手術を検討する際の参考にしてください。
Q.手術直後からよく見えるようになりますか?
手術直後から視界の明るさを実感される方が多いですが、最終的な視力が安定するまでには時間がかかります。
個人差はありますが、約1ヶ月から半年程度必要なケースもあります。
この期間は、複数の焦点に同時にピントが合う状態に脳が適応していく大切な時期です。
焦らず、徐々に新しい見え方に慣れていくことが大切です。
Q.多焦点レンズは誰でも使えますか?
すべての方に多焦点レンズが適しているわけではありません。
Q.仕事や運動はいつから再開できますか?
深作眼科の手術方法では、従来よりも早く日常生活に戻れることが多いです。
筋トレなどの激しい運動は医師の指示に従う必要がありますが、通常1〜4週間で回復する見込みです。
ただし、これはあくまで目安です。回復状況には個人差があるため、医師の指示に従いましょう。
Q.レンズの寿命はどのくらいですか?
現在眼内レンズで使われているアクリル素材のレンズは、人間の寿命よりも長い耐用年数をもつとされています。
正式な認可を受けたレンズであれば、耐久性試験を通過しているため、長期間にわたって透明性を保ちます。
従って、余程の問題がないかぎり、一度挿入したレンズは半永久的に使用できると考えてよいでしょう。
まとめ
多焦点眼内レンズは白内障治療と同時に老眼矯正も可能にする有効な選択肢です。
遠近両方の視力改善によって日常生活の質が大きく向上しますが、適応や費用面なども含めて総合的に検討することが大切です。
『深作眼科』では、深作院長の開発した技術と豊富な手術実績を活かした精密な多焦点眼内レンズ手術を提供しています。
年間4000件以上の手術実績とアメリカ眼科学会からも高評価を受ける技術力で、患者さんの視力回復をサポートします。
よりよい視界と生活の質の向上を目指すなら、『深作眼科』にぜひ一度ご相談ください。