緑内障になったらしてはいけないことは?日常生活や薬の注意点を解説
2025年11月7日

緑内障になったら、さまざまな制限があり、今までのように普通に生活できなくなるのではないかと不安を抱えていませんか?
基本的には、緑内障になっても日常生活は通常通りに送れます。
ただし、いくつかしてはいけない注意すべき点があるため、知っておきましょう。
この記事では、緑内障になったらしてはいけないことについて、詳しく解説します。
日常生活で気をつけるポイントや薬について気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
緑内障になっても基本的に普通に生活できる

緑内障になったら何もできないのではないか、目が見えなくなったらどうしたらいいのか、緑内障の方はこのような心配をしている方も少なくありません。
しかし、気をつけるポイントさえ知っていれば、基本的に普通に生活できます。
日常生活は通常通り送れる
緑内障になっても、日常生活は通常通り送れます。
過度に心配して行動を制限する必要はなく、飲食や運動、趣味なども、基本的に健康的にバランスを考えて行えば問題ありません。
ただし、喫煙や無酸素運動などの眼圧を上げる可能性がある行動や習慣には気をつけましょう。
また、閉塞隅角緑内障の診断を受けた方は禁忌薬剤があるため、他の病気で処方される薬には注意が必要です。
点眼薬を正しく使用する
点眼薬によって、使用するタイミングや量などが異なるため、医師や薬剤師からの説明をしっかり理解して正しく使用しましょう。
緑内障になったら点眼薬を処方され、継続的な治療をしていくことになります。
2種類以上の点眼薬を処方された場合は5分以上開けて使用する、毎日忘れずに使うなど、注意点は守ってください。
点眼治療で思うように眼圧が下がらなかった場合、レーザー治療や手術を行うこともあります。
きちんと通院・治療をする
緑内障の治療は、進行を抑制するために行われ、発症したら生涯治療しなければなりません。
治療を続けていれば、今の視野や視力を維持しながら普通に生活を送ることができます。
元に戻らないならと諦めて治療に積極的ではなかったり、途中で治療をやめてしまったりすると、緑内障が進行してしまいます。
視野が欠けていき、視力が低下して、放置すると失明に至る可能性があります。そうなると今までのような日常生活を送るのは困難となるでしょう。
そのため、通院と治療を継続することが非常に重要です。
緑内障の種類を知っておく

緑内障の診断を受けたら、自分がどの種類の緑内障に分類されるのかをきちんと把握しておきましょう。
緑内障には多くの種類があり、その中でも閉塞隅角緑内障の場合は禁忌薬剤があるため、他の疾患で処方される薬に制限があります。
原発開放隅角緑内障
原発開放隅角緑内障とは、眼球を満たす水分である房水の排出を担う隅角は開いているものの、その先の線維柱帯が目詰まりを起こしている種類の緑内障です。
房水がうまく排出されずに眼球にたまり、眼圧の上昇によって視神経乳頭が圧迫されて視神経が障害されると、その部分で見ていた視野が欠けていきます。
1度機能しなくなった視神経は、元には戻りません。
初期は自覚症状があまりなく、数年~数十年かけてゆっくり症状が進んでいくため、変化がわかりにくく、緑内障の発症に気づかない方がほとんどです。
眼圧の上昇が主な原因となりますが、視神経がどの程度の眼圧に耐えられるかは個人差によります。
眼圧が正常範囲(10~20mmHg)でも緑内障を発症する正常眼圧緑内障の方も多く、原発開放隅角緑内障に含まれます。
正常眼圧緑内障は、視神経の血流や弱さによるものと考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
原発閉塞隅角緑内障
原発閉塞隅角緑内障は、隅角が閉じたり狭まったりして房水の排出がうまくいかなくなることにより発症する緑内障です。
慢性と急性があり、慢性の場合は原発開放隅角緑内障と同じく、症状が徐々に進行していきます。
原発閉塞隅角緑内障は抗コリン薬が禁忌薬となっているため、注意が必要です。
また、注意すべきなのは急性緑内障発作で、突然隅角に異常が起こり急激に眼圧が上昇することで発症し、激しい目痛や視力低下、充血、激しい頭痛、嘔吐などを伴います。
急性緑内障発作が起こった場合、早ければ一晩~数日の短期間で視力を失う恐れがあるため、緊急で眼圧を下げる処置が必要となります。
続発緑内障
原発緑内障は原因がはっきりわかっていないのに対して、続発緑内障は原因がわかっている緑内障の種類です。
- 他の目の疾患(網膜剥離、ぶどう膜炎、眼内腫瘍、眼科手術後など)
- 全身疾患(糖尿病網膜症、脳疾患、ステロイド点眼薬の長期使用など)
- 外傷によるもの など
これらの原因により眼圧上昇や視神経への血流が不足するなどして、緑内障の発症につながると考えられています。
小児緑内障
先天的に隅角に異常がある種類の緑内障を、小児緑内障と呼びます。
以前は発達緑内障、先天緑内障と呼ばれていましたが、名称が変更されているだけで、同じ種類です。
生まれてすぐに眼圧が高い場合や、成長してから眼圧が上がる場合など、発症する時期には個人差があります。
眼圧を上げてしまう生活習慣に注意

緑内障になっても日常生活は普通に送れるとはいえ、眼圧を上げてしまう生活習慣には注意が必要です。
難しいことではなく、知っていれば防げる行動や習慣なため、意識して生活しましょう。
長時間下を向く姿勢を続ける
長時間の下向き姿勢は、眼圧が上がりやすくなってしまうため注意しましょう。
ゲームやスマートフォン、読書、デスクワーク、パソコン作業などをする場合はなるべく下を向かない姿勢をとり、適度な休憩をしてください。
眼圧上昇を防ぐと同時に、目に負担をかけずに眼精疲労を防ぐことにもつながります。
うつ伏せ寝
睡眠時の姿勢も、眼圧を上昇させないために意識しましょう。
うつ伏せ寝は両目を、横向き寝は下になった目を圧迫して眼圧が上昇しやすくなります。
寝ている間の眼圧上昇は、気づかないうちに視神経にダメージを負うことにつながるため、緑内障の症状が進行する可能性が高いため、注意しましょう。
身体に合った枕を使用して、仰向けで寝ることを心がけてみてください。
喫煙
喫煙は、血流が悪くなり視神経へ悪影響を及ぼします。
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管を収縮させる作用があるため血行が悪くなり、目に必要な栄養や酸素が届きにくくなり、視神経が障害されるのです。
また、タバコを吸うことで発生する活性酸素が目の組織を傷める可能性もあります。
喫煙は多くの病気の元となり、緑内障以外にも全身の健康を損なう恐れもあるため、禁煙をおすすめします。
大量の水を一気に飲む
大量の水を一気に飲むと、眼圧が上昇しやすくなるため注意しましょう。
夏場や運動後などの水分補給はもちろん必要ですが、500mlのペットボトルを一気に飲むのは避けて、少しずつ飲むようにしてください。
また、アルコールの一気飲みは、眼圧の上昇だけでなく急性アルコール中毒の危険もあるため、緑内障でなくても避けた方がよいでしょう。
無酸素運動
緑内障になったら、筋トレやダンベル運動など、息を止める無酸素運動は控えましょう。
力を入れる瞬間に息を止めると、眼圧の上昇につながります。
頭を下に向ける姿勢があるものも、同様に避けた方がよいでしょう。
ウォーキングや軽いジョギングなどの、有酸素運動がおすすめです。
緑内障になるリスクである糖尿病や高血圧などを改善できる可能性もあるため、全身の健康のためにもぜひ取り入れてほしい習慣です。
緑内障になったら服用してはいけない薬

緑内障になったら、服用してはいけない薬があるため、注意が必要です。
他科で薬を処方されるときに「緑内障はありますか?」と聞かれることもあるため、緑内障の種類を把握してきちんと伝えましょう。
ステロイド剤
ステロイド剤は、緑内障の種類に関わらず眼圧上昇の可能性があるため、使用には注意が必要です。
内服、点眼、軟膏のステロイド剤は、緑内障の発症後は控えるか、定期的に眼圧測定をして変化があるかを確認しなければなりません。
目に直接ではなくても、目の周りや顔にステロイド軟膏を塗る場合も同様です。
眼科と他科にそれぞれに、ステロイド剤の使用を継続するか、使用を中止するかをしっかり相談しましょう。
閉塞隅角緑内障の方は抗コリン薬の服用に注意
抗コリン薬は、閉塞隅角緑内障の禁忌薬剤です。
抗コリン薬には瞳孔を広げる作用(散瞳)があり、隅角の閉塞が進み急性緑内障発作のリスクが高まります。
- 抗ヒスタミン剤
- 抗不安剤
- 催眠鎮静剤
- 統合感冒剤
- 気管支拡張剤
- 抗パーキンソン剤 など
このような薬に抗コリン薬が含まれています。
閉塞隅角緑内障の方は、他の疾患で処方された薬を必ず確認して、抗コリン薬の服用をしないようにしてください。
ただし、閉塞隅角緑内障と診断されていても、隅角が広くなる手術(レーザー光彩切開術、白内障手術など)をしている方は抗コリン薬を使用しても問題ない場合もあるため、医師に確認してください。
また、開放隅角緑内障の方は、抗コリン薬は禁忌薬に該当しません。
緑内障と診断されたら

緑内障と診断されたら、症状を進行させないための治療を開始します。
失明するのではと不安がある方もいますが、きちんと治療を継続すれば、生涯視力を保つことも可能です。
指示通りに通院を続ける
緑内障の診断を受けたら、眼科医の指示通りに通院を続けて、治療を継続しましょう。
症状が悪化する要因のひとつは、治療に消極的なことです。
緑内障の治療は目を元に戻すのではなく、進行を抑制することが目的のため、一生治療を続けなければなりません。
途中で治療を止めると、視野がどんどん欠けていき、放置していると視力を失ってしまいます。
焦って生活スタイルを激変させる必要はなく、治療を続けるのが前提ですが、今までとほとんど変わらない生活を保てる可能性が高まります。
また、引っ越しやかかりつけ眼科の事情などで転院しなければならなくなり、面倒に感じて治療をやめてしまう方も少なくありません。
転院する場合は、今までの治療経緯がわかるように紹介状をもらいましょう。
自宅での点眼治療をする
緑内障で最も重要な治療は、自宅での点眼です。
重症例や緊急の場合はレーザー治療や手術をするケースもありますが、多くは点眼を継続して眼圧上昇を抑制するのが緑内障の治療になります。
点眼は自宅で自己管理に任せる部分が多く、治療の成功は自分自身にかかってきます。
ただ、初期であればあるほど自覚症状がなく、不便もないのに点眼を続けるのを面倒に感じてしまう方も少なくありません。
毎日時間を決めて忘れずに点眼をすることで、生涯視力を保ち見える状態をキープするためにも、点眼治療をしっかり続けましょう。
まとめ
緑内障でしてはいけないことは、眼圧を上げる行動や習慣です。
それさえ気をつければ、基本的には今まで通りの日常生活を送ることができます。
ただし、通院や治療をきちんと継続するのが前提となるため、注意しましょう。
失明もしくは著しく視野が狭くなる、視力が低下してしまうと、日常生活において不便がありQOLを保つのが難しくなってしまいます。
緑内障を発症してからは、眼圧上昇につながる生活習慣を改め、禁忌薬について確認して、一生付き合う病気として受け入れる必要があります。
長く治療を続けるのは根気がいりますが、信頼できる医師とよく相談しながら治療を続けていきましょう。
深作眼科はOCT(3次元眼底画像解析)検査を活用して、緑内障の早期発見に努めております。
多くの手術経験をもち、重症の緑内障対応しています。
緑内障の治療について知りたい方や、症状にお悩みの方は、深作眼科へご相談ください。