『ICLは怖い』と感じる理由は?メリット・デメリットも解説
2025年11月10日

近年、レーシックと並んでICLに関心がある方も増えているのではないでしょうか。
メガネやコンタクトレンズをしなくても見えるようになるのは、近視の方にとって気になる情報です。
しかし、目の手術をするICLは怖いとの意見も少なくありません。
この記事では、ICLを怖いと感じる理由や、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
ICLに興味はあるけれど向いているかわからない方、漠然とした怖さを感じている方は、ぜひ参考にしてください。
ICLが怖いと感じる理由

ICLが怖い、と感じる理由はさまざまですが、主に以下の4つが挙げられます。
ここでは、ICLの手術について怖さを感じる理由について、詳しく解説します。
痛み
ICLは外科手術に分類されるため、痛みへの不安がある方は多いのではないでしょうか。
手術中や手術後の痛みは、どの程度なのかを事前に知っておきましょう。
ICL手術は事前に目に点眼麻酔をするため、手術中の痛みはほとんど感じません。
ただし、手術の過程で縮瞳(瞳孔を縮める)をするときに、少ししみる感覚があります。
手術後の痛みもほとんどありません。
目がゴロゴロする、乾いているなどの症状は感じる方もいますが、約1週間で落ち着く方がほとんどです。
手術中の様子が見える
ICL手術で使用される点眼麻酔は目の表面の感覚をなくすだけなため、意識があり手術中の様子が見えるのは、怖いと感じてしまうかもしれません。
しかし、見えるといっても、手術用のライトが当たって何をしているかはまぶしくてわからないことがほとんどです。
それでも恐怖感を感じてしまったり、手術中に身体が動いてしまったりするのが心配な方は、クリニックによっては点眼麻酔以外に他の麻酔ができることもあるため、事前に相談してみましょう。
視力が回復するか
ICL手術を受けても視力が回復するかわからない不安感も、怖いと思う原因のひとつです。
ICL手術は、目の中に特殊なレンズを入れるため、メガネやコンタクトレンズよりも精度が高い視力回復効果が期待できます。
個人差もありますが、ICL手術を受けたほとんどの方は、手術後に裸眼で生活するのに困らない状態まで視力が回復します。
視力の回復には個人差があります。ほとんどの方が、術後3日程度で良好な視力を得られますが、完全に安定するまでには1~3ヶ月ほどかかる場合もあります。
合併症や手術のリスク
外科手術であるICLは、合併症や手術のリスクである感染症の可能性があります。
合併症として、まれに白内障や眼圧の上昇、角膜内皮細胞減少などが起こることがあります。
これらの合併症が起こった場合、レンズを取り出したり、追加で手術をしたりしなければならないこともあるため、注意が必要です。
また、ICLでは約3mmの小さな穴からレンズを挿入するために切開します。
そこから細菌が侵入して、低確率ではありますが術後眼内炎という炎症を起こす可能性があります。
感染症を防ぐために、処方された抗菌の点眼薬を正しく使用することや、術後の生活に関する制限の指示をきちんと守りましょう。
信頼できるクリニックで手術を受け、衛生管理や術後フォローを徹底することで、合併症やリスクを最小限に抑えることができます。
定期検診以外でも、少しでも目に違和感があったらすぐに眼科を受診して状態を確認しましょう。
ICLとは

ICLとは、屈折異常(近視、遠視、乱視など)を矯正するための手術です。
角膜を削るレーシック手術に対して、ICLは目の中に特殊なレンズ(眼内レンズ)を挿入します。
手術により、従来のメガネやコンタクトレンズとは異なるアプローチができる矯正方法です。
ここでは、ICLの手術について、詳しく解説します。
ICLとは
ICLは、目の中にある虹彩と水晶体の間に、後房型有水晶体眼内レンズと呼ばれる特殊なレンズを挿入して、近視、乱視などの視力を矯正する手術です。
手術時にレンズを挿入するための傷口は3mmほどで、角膜や他の目の組織を傷つけずに行えます。
レンズは必要に応じて取り出すことができ、将来目の病気にかかったり、手術後に視力が変わってレンズが合わなくなったりした場合は、元に戻すことが可能です。
ICLは手術後に近視が戻ってしまうことが少ないとされていて、長期間視力を維持する効果が期待できます。
レーシックでは適応外である-10D以上の強い近視や乱視、薄い角膜の方にも対応できる可能性があります。
ただし、視力が安定している成人の方が適応となるため、未成年の場合は他の方法を検討してみましょう。
ICL手術の前には詳細な適応検査を行い、慎重に診断しリスクがあると判断された場合はICLができないこともあるため、医師とよく相談してください。
手術の流れ
ICL手術が決定してからレンズを注文して、手術日を決めます。
手術時間は片目で約15分、両目で約30分となります。
手術当日の主な流れは以下の通りです。
- 手術前診察
- 散瞳剤(瞳孔を開く点眼薬)
- 点眼麻酔(30分ほど前から数回に分けて行う)
- 切開(強膜と角膜の間を3mmほど切る)
- 粘弾性物質(ヒアルロン酸)を注入(眼内の組織保護やレンズの安定のため)
- ICLレンズ挿入(痛みは感じないが、押される感覚がある)
- ICLレンズを固定(虹彩と水晶体の間に位置を固定する)
- 縮瞳剤(瞳孔を縮める点眼。少し沁みる)
- 粘弾性物質を除去(感染症を防ぐために丁寧に洗浄する)
- 手術終了
切開した部分は自然に閉じるため、縫合や抜糸の必要はありません。
ICL手術後は、約1時間の安静時間をとった後お帰り頂けます。
ICLのメリット

ICLはメリットが多い視力回復方法です。
視力にお悩みの方は、メリットとデメリットの両方を確認して検討してみてください。
レンズの入れ替えができる
ICLは再手術によりレンズの入れ替えが可能です。
レンズの位置や見え方に違和感がある場合も、再手術により調整できます。
手術後数年経って視力が変わったり、老眼の進行でレンズが合わなくなったりする場合も対応できるのがメリットです。
また、将来的に目の病気になってもレンズを取り出して適切な治療ができるため、ICLをしているから手術ができないことはありません。
メガネやコンタクトレンズが不要になる
ICL手術後はメガネやコンタクトレンズが不要になり、裸眼で過ごせるようになるのは、大きなメリットです。
朝起きてすぐにメガネをかけなければ家の中も歩けない、コンタクトレンズをしたいのに目の調子が悪いなどの不便さは、ICLによりほぼ解消されます。
メガネ派の方は、重みで鼻や耳が痛くなったり、度数が強いと頭痛が起こったりする不便を感じている方が少なくありません。
メイクがメガネに付いてしまう、温泉でメガネを外すと見えなくて楽しめないなど、生活するうえで面倒だと思う瞬間も多いのではないでしょうか。
コンタクトレンズ派の方も、ケアや購入のために頻繁に通院したり、うっかり外すのを忘れて寝てしまい目を傷めてしまったりして、忙しいなかで眼科への通院時間を確保するのが難しい方も多いです。
適切な使用方法と毎日のケア、定期的な目のチェックを怠ると、目の病気になる可能性があるため、コンタクトレンズの使用は注意が必要です。
また、災害時にメガネやコンタクトを持っていなくて困る事態もICLで防げるため、万が一のときにも不安が軽減されるでしょう。
強い近視や乱視にも対応できる
強い近視や乱視は、レーシックやオルソケラトロジーなどの矯正方法では対応できない場合がありますが、ICLは対応できる可能性が高いです。
適応範囲は-3.0D〜-18.0D、乱視は4.5D以内を目安とされていて、ICLを受けられると診断されます。
ICLは角膜の厚さや形状、乱視の有無に左右されずに適応になるケースが多いため、他の方法では矯正できないと諦めていた方は眼科で相談してみてください。
手術時間が短く、日常生活への復帰が早い
ICLの手術時間は片目で約15分、両目で約30分と短時間で身体への負担が軽いのもメリットです。
遠方から来院する場合は、当日は近隣のホテル宿泊が推奨されることもあるため、医師の指示に従いましょう。
翌日から視力が回復する方が多く、日常生活に影響が出にくいですが、安静期間は目を使わないように注意が必要です。
仕事や家事などは、目に負担のかからない範囲であれば比較的早く復帰できます。
ただし、目をこすらない、洗顔や入浴、運動などの開始時期の制限などがあるため、手術後の注意事項は守りましょう。
また、手術後は感染症がないか確認したり、目の状態をチェックしたりするために定期検診があるため、予定を空けておくようにしてください。
お手入れがいらない
ICLは1度レンズを挿入する手術をすれば、その後のお手入れはいらず、手間がかかりません。
ICLはハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とコラーゲンの共重合体素材であるコラマーから作られていて、生体適合性の高い素材です。
メンテナンスがいらず、長期間透明度を損なうことなくレンズの機能が保たれます。
コンタクトレンズやオルソケラトロジーではレンズのケアが必要ですが、ICLは自分で取り外しするわけではないため、ケアの手間が省けます。
メガネのように用途に合わせて着けかえる、就寝時や起床時の着け外しなども必要ありません。
近視への戻りが少ない
ICL手術をした後に近視へ戻ってしまうことは少なく、長期的に視力の改善が期待できます。
レーシック手術では角膜を削る量やもとの視力の程度により、数年後に近視の戻りが起こるケースがあります。
ICLではレンズを挿入した後は、もとの視力に影響されることはなく、安定した視力を長期間維持できるのが特徴です。
紫外線カットができる
ICLは紫外線カットの効果も期待できます。
ICLの素材であるコラマーは光の反射を防ぎ、紫外線を90%以上カットするのも特徴のひとつです。
紫外線カットができることにより、目の老化を予防し、白内障を始めとする目の疾患のリスクを軽減します。
ICLのデメリット

メリットばかりではなく、ICLにはデメリットも存在します。
両方を比較して、自分の状況や生活スタイルに合っているかを、慎重に検討しましょう。
保険適用外
ICLは保険適用外のため自費診療となり、クリニックにより費用が異なります。
片目で約30~40万円が目安ですが、乱視の場合は追加費用がかかる可能性があります。
適応検査やカウンセリング、手術後の定期検診は費用が別の場合もあり、クリニックによって差があるため、事前に確認しておきましょう。
ただし、ICLは医療費控除の対象となります。
確定申告により税金の還付が受けられる可能性もあるため、制度を確認しておくとよいでしょう。
ハロー・グレア
ICL手術後は、ハロー・グレアを経験することもあります。
夜間や暗いところで光がにじんで見えたり、光の周りにモヤがかかったように見える現象をハローと呼びます。
光がギラギラ見えて過剰な眩しさを感じる現象は、グレアです。
手術直後はハロー・グレア現象を感じる方が多いですが、一般的には数週間~数ヶ月で改善することがほとんどです。
症状が強い場合は車の運転は危険なため、運転を控える、夜間の運転は避けるなどの対策をしてください。
また、数ヶ月経っても症状が改善せず日常生活に支障が出ている場合は、医師に相談しましょう。
手術までに時間がかかる可能性がある
レンズの在庫によってはすぐにICL手術ができず、取り寄せる時間がかかる可能性があります。
ICLは詳細な検査によりそれぞれに適したレンズを使用するため、特殊な度数や国内の在庫がない場合は、海外からの輸入や特別製造をしなければなりません。
ケースにより異なりますが、1〜3ヶ月かかる可能性もあります。
ICL手術を検討している方は、時間がかかることもあると考えておきましょう。
感染症の可能性がある
ICLの手術後は、まれに感染症が起きる可能性があります。
傷口から細菌が侵入し起こる炎症を術後眼内炎と呼び、感染症発生率は約0.017%(1/6000)とされています。
(参照:「ICLの合併症」日本白内障屈折矯正手術学会)
手術でできる切開創は3mmほどの小さなものですが、術前・術後は清潔を保ち処方された抗菌剤を正しく使用するなどのケアが重要です。
術後眼内炎を発症したらすぐに治療が必要で、症状により失明の危険もあるため、レンズを取り出す場合もあります。
合併症のリスクがある
ICLの合併症として考えられるのは、以下の通りです。
- 角膜内皮細胞減少
- 高眼圧
- 白内障 など
確率は低いですが、これらの合併症が起こった場合、追加で手術や治療が必要になる可能性があります。
ICL手術をしてから数年経って白内障を発症したとしても、加齢によるものかICL手術によるものかはっきりしないケースもありますが、治療としてはICLを取り出して通常の白内障手術を行います。
また、強い近視の方は緑内障になるリスクがあるため、ICL手術後に眼圧が上昇しているときは注意が必要です。
ICLに向いている方・向いていない方

近視や乱視の程度や年齢などの適応条件の他にも、ICL手術に向いている方と向いていない方がいます。
ここでは、ICLが向いている方と、他の方法を検討した方がいい方について解説します。
ICLに向いている方
ICLに向いているのは、以下のような方です。
- メガネやコンタクトレンズの手間を省きたい方
- メガネやコンタクトレンズでは視力の矯正が難しい方
- 視力の規定がある職業に就きたい方
- 可逆性を求める方
- ドライアイの方 など
ICL手術をすると裸眼で過ごせるようになるため、メガネやコンタクトレンズは必要なくなり、手間やコストもなくなります。
強い近視や乱視、遠視、左右の視力の差が大きいなどの理由で従来の方法では矯正が難しかった方も、適応検査で対象となれば、ICLで対応できる可能性があります。
可逆性がある(レンズが取り外しできて調整が可能)ことで、希望する職業に就くことも可能です。
警察官やパイロットなどは視力の規定がありますが、ICLの手術歴を事前に申告して、基準の視力を満たしていれば受験資格を得ることができます。
ICLは角膜を削らないため、ドライアイが悪化するリスクが低く、今までドライアイでコンタクトが使用できなかった方にも向いています。
ICLに向いていない方
ICLに向いていない方は、以下のような方です。
- 未成年
- 45歳以上の方(老眼の進みにより効果が得られない場合があるため慎重に対応)
- 目の疾患がある方
- 妊娠中・授乳中の方
- 重度のドライアイの方 など
未成年の方は、成長による近視の進行が安定していないため、ICLの適応外となります。
メガネやコンタクトレンズではない近視治療を希望する方は、オルソケラトロジーの対象となる場合があるため、医師に相談してみましょう。
また、45歳以上になると老眼の影響が出てくる方もいて、ICLをして近視に対応しても、老眼により近くを見るために老眼鏡をかけなければいけなくなる可能性があります。
生活環境や目の度数によってICL手術に適していると診断される場合もあるため、医師とよく相談してください。
他の目の疾患(白内障、緑内障、ぶどう膜炎など)がある方は、ICLの手術ができません。
目に影響のある全身疾患(糖尿病や自己免疫疾患)のある方も、適していない場合があります。
妊娠中や授乳中、これから妊娠の計画がある方は、ホルモンバランスの変化が視力に影響する可能性があるため、安定してから検討しましょう。
また、ドライアイの症状が重度の場合は、適応検査で適していないと診断される場合もあり、医師との相談が必要です。
まとめ
ICL手術が怖いと感じるのは、痛みや手術中に意識があること、手術後の視力、手術のリスクなどの理由が多いと考えられます。
麻酔をしたり、事前に情報収集をしたりするのも必要ですが、豊富な実績や経験がある信頼できる眼科で相談することで、恐怖感の軽減につながります。
ICLは視力に関してお悩みの方にとって、裸眼で過ごせることで生活が変わる可能性が高い矯正治療です。
手術のリスクやメリット・デメリットを詳しく知り、メリットが上回る方は、ICLを検討してみてはいかがでしょうか。
深作眼科は、定期的にICL手術無料説明会を開催し、患者様のICLに対しての疑問や不安を解消するためのサポートを行っております。
多数の手術による実績があり、1994年からのレーシック手術や有水晶体眼内レンズの10年以上の経験をもとに、ICL手術に臨んでおります。
ICLに興味はあるけれど怖い方、適応しているか知りたい方は、深作眼科のICL手術無料説明会にぜひご参加ください。