片目のまぶたが下がる眼瞼下垂の治し方!種類や原因も解説
2025年11月10日

「片目のまぶただけが下がっている気がする」
「目の大きさが左右で違って見える」
このような症状にお悩みの方は、もしかしたら眼瞼下垂(がんけんかすい)かもしれません。
眼瞼下垂の原因はさまざまですが、手術が必要な場合もあります。
この記事では、眼瞼下垂の種類や原因、簡単にできる予防のためのトレーニングなどをわかりやすく解説します。
眼瞼下垂の注意点や治療法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは

眼瞼下垂とは、まぶたを持ち上げる筋肉や神経の機能が低下し、まぶたが開けにくくなってしまう状態のことです。
黒目の部分までまぶたが被ると視野が狭くなり、見た目だけでなく日常生活に支障をきたす可能性があります。
眼瞼下垂の症状チェック
眼瞼下垂になると、以下のような症状が現れます。
- まぶたが重いと感じる
- 左右の目の大きさが違う
- 二重の幅が変わった
- おでこのシワが目立ってきた
- 視野が狭くなった
- ものを見るときに顎が上がる
- 片目に疲労感や違和感がある
- 目が乾きやすい
- 頭痛や肩こりが起こりやすくなった など
無意識に力を入れてまぶたを開こうとしているためにおでこにシワが寄っていたり、頭痛や肩こりになったりすることもあります。
目に関する違和感や見た目以外にもこのような症状があると感じている場合、眼瞼下垂や他の目の病気の可能性があるため、眼科を受診しましょう。
重症度の分類
眼瞼下垂は、症状によって重症度の分類ができます。
正常な状態は最大に目を開くと黒目の上に白目の部分が見えますが、重症度により上まぶたが下がり黒目が隠れていきます。
| 見た目(まぶたを開けた状態) | 自覚症状 | |
|---|---|---|
| 軽度 | 瞳孔にかかるギリギリの位置くらいまでしか上まぶたが開かない
黒目の中心から上まぶたまで2~4mmほど |
まぶたが重く感じる
二重の幅が変わるなど |
| 中等度 | 上まぶたが瞳孔の上半分ほどまでかかってしまう
黒目の中心から上まぶたまでの距離がさらに短くなる |
視野の狭さを感じる
額や眉に力を入れてまぶたを開けようとする 頭痛や肩こりが出始めるなど |
| 重度 | 上まぶたがほとんど上がらない
眉だけが上がりまぶたがくぼむ |
視力が低下する
頭痛や肩こりがひどくなる おでこのシワが目立つ |
軽度では自覚症状がない場合も多く、眼瞼下垂になっていても気づかない方も少なくありません。
症状が中度から重度に進行するにつれて、力を入れてもまぶたが上がらなくなり、上まぶたが瞳孔にかかるようになって視野が狭くなります。
視力が低下することもあり、日常生活にも影響が出る可能性が高まります。
眼瞼下垂の種類

眼瞼下垂は大きく分けて3つの種類があります。
ここでは、先天性眼瞼下垂、後天性眼瞼下垂、偽眼瞼下垂それぞれについて、詳しく解説します。
先天性眼瞼下垂
先天性眼瞼下垂は、生まれつきまぶたを開けるための筋肉や神経に異常があることで起こる眼瞼下垂です。
まぶたを支える筋肉である眼瞼挙筋(がんけんきょきん)とミュラー筋(補助的筋肉)は通常伸び縮みしますが、先天的な異常があると固い線維組織が多くなります。
先天性眼瞼下垂は原因や理由がわかっていないため、予防することは難しいと考えられています。
両目も片目もなる可能性があり、まれですが弱視や斜視の原因になることもあるため、眼科で診断を受け経過観察や治療が必要です。
後天性眼瞼下垂
後天性眼瞼下垂は、加齢や病気、外傷などにより発症し、片目だけに現れるケースも少なくありません。
眼瞼挙筋やミュラー筋の機能低下によりまぶたを持ち上げる力が不足する状態を腱膜性眼瞼下垂と呼び、症例数が多い眼瞼下垂です。
他にも神経性や外傷性、筋原性、機械性など、原因によってタイプ別に分類されます。
大人になってから発症し、タイプや重症度により手術を検討します。
偽眼瞼下垂
偽眼瞼下垂とは、まぶたの筋肉や腱には異常がないにもかかわらず、まぶたの皮がたるむ、目がへこむなどでまぶたが下がって見える状態のことです。
眉が下がってしまうことや、眼瞼けいれんなども含まれ、原因により治療方法が異なるため、眼科を受診し医師と相談しましょう。
片目だけまぶたが下がる原因

片目だけまぶたが下がる原因は、以下のようなものが挙げられます。
ここでは、眼瞼下垂の原因について詳しく解説します。
加齢
眼瞼下垂の主な原因となるのは、加齢と考えられています。
まぶたを上げるための筋肉や腱が弱くなり、まぶたが下がってくる状態です。
男性は50歳以上、女性は40歳以上になると眼瞼下垂になる確率が高まります。
初期は自覚症状があまりなく、年月を重ねると徐々に見た目や視野への影響が出てきます。
軽度の場合、トレーニングにより進行を抑制できる可能性もありますが、手術をした方がいいケースもあるため、眼科で相談してみましょう。
ハードコンタクトレンズ
ハードコンタクトレンズを長期間使用している方は、眼瞼下垂になりやすい傾向があります。
ハードコンタクトレンズを装着する方はまぶたに触れる機会が多く、取り出す際に目のふちを引っ張るため、摩擦が大きくまぶたの筋肉を傷める可能性があるのが理由です。
年齢は関係なく、若年層でも起きることがあります。
ハードコンタクトレンズを着け外すときには、強くまぶたに触れたり引っ張ったりしないように心がけることで、眼瞼下垂の予防になります。
また、ソフトコンタクトレンズは比較的負担は少ないですが、着け外しの際は力加減に気をつけましょう。
神経系の疾患
神経系の疾患がある場合、眼瞼下垂だけではなく他の筋肉にも影響が出る可能性があります。
後天性眼瞼下垂の神経系に分類され、重症筋無力症や脳卒中、脳腫瘍などが原因となり引き起こされます。
まぶたの筋肉を動かす神経との間で問題が起こり、刺激が筋肉に上手く伝わらない状態です。
夜になるとまぶたが下がる、疲れているときに起こりやすいなどがあったら、神経系の疾患がある可能性が高いため、病院を受診しましょう。
神経性の眼瞼下垂の場合は、原因となる疾患の治療が必要です。
外傷
目に外傷を受けた場合も、眼瞼下垂を発症することがあります。
まぶたの筋肉の損傷、神経のマヒなどの原因が考えられます。
また、目の手術(白内障や眼瞼手術など)の後に起こる眼瞼下垂も、外傷性に含まれます。
外傷を受けた側の片目だけに症状が現れることが特徴です。
ストレス
強いストレスにより自律神経が乱れると、まぶたを支える筋肉に影響を及ぼす可能性があります。
原因を取り除いたり、リフレッシュ方法を見つけたりすると、症状が改善するケースもあります。
ただし、ストレスのせいだと自己判断してしまうと、他の病気が隠れていて見逃してしまうかもしれません。
ストレスを溜めないことを心がけると同時に、医療機関で診断を受けることが大切です。
他の病気の影響
眼瞼下垂の原因となり得る病気は、さまざまなものがあります。
- 筋ジストロフィー、慢性進行性外眼筋麻痺など(筋原性眼瞼下垂)
- 眼瞼腫瘍、浮腫など(機械性眼瞼下垂)
- 緑内障(点眼薬の長期使用)
- ホルネル症候群(交感神経が上手く働かない状態)
- 甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンの過剰分泌)
- 生活習慣病(糖尿病、高血圧など動脈硬化を引き起こす病気) など
他の病気の影響により眼瞼下垂が引き起こされる場合は、原因疾患の治療が必要です。
軽度の眼瞼下垂|注意点

軽度の眼瞼下垂は自力で治せると噂を聞いて、さまざまな方法を試したいと思う気持ちもあるかもしれませんが、やり方によっては逆効果になりかねません。
基本的に、眼瞼下垂を治すには手術が必要です。
そのうえで、軽度の眼瞼下垂の予防や進行を抑えるための注意点を紹介します。
まぶたのマッサージは逆効果?
まぶたのマッサージは眼瞼下垂の改善にはならず、逆にたるみの原因になる可能性があるため注意しましょう。
マッサージをしても、まぶたの筋肉を鍛える効果はほとんど期待できず、目元への負担になってしまいます。
まぶたを支える筋肉は非常に薄く繊細で、マッサージは過度な刺激になってしまうこともあるため、避けた方がいいでしょう。
アイプチ・濃いアイメイクは控える
アイプチはたるんだまぶたを持ち上げるため一時的には効果が期待できますが、治療ではありません。
テープや専用スティックの使用がまぶたの負担になるうえに、かぶれや皮膚炎を発症するリスクがあり、眼瞼下垂を悪化させてしまう可能性もあります。
また、濃いアイメイクほどクレンジングの際に強くこすりがちで、まぶたへの負担になってしまいます。
眼瞼下垂の症状がある場合は、進行させないためにもアイプチや濃いアイメイクは控えた方がいいでしょう。
ハードコンタクトレンズの長時間使用
ハードコンタクトレンズの長時間使用は、眼瞼挙筋に負担がかかるため、注意が必要です。
着け外しの際にまぶたや目元を強く引っ張らないようにして、下まぶただけに触れるようにしましょう。
また、メガネを使用する時間を増やす、負担の少ないソフトコンタクトレンズに変えるなどの対策を考えてみてください。
紫外線予防やスキンケア
紫外線や乾燥は肌へのダメージにつながり、角質肥厚(角質を厚くしてダメージを防ごうとする働き)が起こり、まぶたが厚くなることにより、眼瞼下垂が悪化する可能性があります。
紫外線予防は必要ですが、過度に日焼け止めを塗るのは逆に負担になりかねないため、帽子やサングラスを活用して、肌への負担を減らした紫外線対策をしましょう。
また、肌の乾燥を防ぐためのスキンケアも重要ですが、優しい成分のものを使用する、強くこすらないなどを意識してください。
目を酷使する仕事や習慣
目を酷使する仕事や習慣がある方は、眼瞼下垂にも影響しやすいため注意しましょう。
パソコン作業やスマートフォンを見ている時間が長い、片目だけを酷使する作業が多いなどの仕事や習慣は、目に負担がかかり眼精疲労や片目の筋肉だけが疲労につながります。
こまめに休憩する、両目を同じ頻度で使うようにするなどの対策をとりましょう。
血行不良による眼瞼挙筋への影響を軽減するために、ホットアイマスクや蒸しタオルでケアするのも有効です。
眼瞼下垂の治療

眼瞼下垂の治療は、手術を行うことが有効です。
ただし、神経疾患が原因の場合は、疾患の治療をして眼瞼下垂が回復するか経過観察をし、半年~1年ほど経っても改善しないときに手術を検討します。
眼瞼下垂の症状や種類により治療方法が異なるため、眼科医とよく相談しましょう。
費用の目安
眼瞼下垂の手術にかかる費用は、3割の自己負担の場合は片目で約2万円、両目で約5万円が目安となります。
一方自費診療の場合は、両目で約80万円が目安ですが、手術方法や病院によって異なるため、さらに費用が高額になる可能性もあります。
また、医療機関か美容クリニックかでも差が出るため、事前に費用の確認をしておきましょう。
手術の種類
医療機関で行われる主な眼瞼下垂の手術は、以下のようなものがあります。
| 手術名 | 方法 | 対象となる症状 |
|---|---|---|
| 挙筋前転法 | 眼瞼挙筋をまぶたに再固定して引き上げやすくする治療 | 眼瞼挙筋が弱っている、はがれている、穴が開いている場合など |
| ミュラー筋タッキング法 | まぶた裏からミュラー筋(補助的にまぶたを動かす筋肉)をたぐり寄せて固定する治療 | ミュラー筋がのびたり外れたりしている場合
軽度、コンタクトレンズの長期使用が原因の場合など |
| 眉下切開法 | 眉毛の下を切開して皮膚のたるみを引き上げる | 加齢によるたるみ、まぶたが厚くはれぼったい場合など |
| 前頭筋吊り上げ術 | 額の筋肉の力を利用して糸や人工膜などでまぶたを動かす | まぶたの筋肉が弱い、神経のマヒがある、先天性の場合など |
手術方法は医師の診断のもと、症状や適性を考えて選択されます。
どのような手術が適しているか、見た目も考慮しながら医師とよく相談しましょう。
CO2ガスレーザーによる治療法
CO2ガスレーザー(炭酸ガスレーザー)による治療は、皮膚の水分に反応して組織を蒸発させる性質があり、出血が少なく手術による傷口がきれいなのが特徴です。
上記の手術をCO2ガスレーザーで皮膚や組織の切開や止血などを行うことにより、メスを使用した手術と比較すると回復が早い傾向があります。
手術後の腫れも少ないため、傷を目立たせたくない方や仕事復帰を早めたい方は、CO2レーザーを導入している病院での手術を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
片目のまぶたが下がるのは、眼瞼下垂による症状です。
原因は加齢以外にも病気や外傷、コンタクトレンズによるものなどさまざまです。
軽度ならば進行を抑制したり、予防するためのトレーニングで改善できる可能性がありますが、中等度や重度の場合は手術が必要となります。
眼瞼下垂を悪化させないための注意点を確認して、治療方法を医師と相談しましょう。
深作眼科は、眼瞼下垂の治療にCO2レーザーを使用して、患者様の負担を軽減するように努めております。
「最高の視力を生涯守る」を大切にし、適切な治療をご提案させていただきます。
眼瞼下垂の症状にお悩みの方、手術の傷口が残るのが不安な方は、深作眼科へご相談ください。